ChatGPT・GPTs

ChatGPTのGPTsで研修アンケート分析AIボットを作成しよう

当記事の要点

  • GPTsを使えば、研修アンケートの自由回答分析が短時間で可能になる。
  • 担当者の負担を減らしつつ、改善提案の自動生成も実現できる。
  • セキュリティや法的配慮をクリアすれば、安心して業務に導入できる。
  • 導入はPoCから段階的に進めることで、コストを抑えながら効果を検証できる。

こんにちは、FreedomBuildの駒田です。

日々の研修運営に忙殺され、アンケート結果を十分活用できずにもったいないと思ったことはありませんか。

多くの担当者が、アンケートの自由記述欄を読むだけでかなりの時間を割き、結局は改善ポイントを見落としてしまうケースもあるようです。

「もっと効率的に、的確に研修をアップデートできたらいいのに」と感じながら、なかなか手が回らない現実に直面している人も多いでしょう。

そこで注目したいのが、ChatGPTのGPTs機能を使って手軽に構築できる研修アンケート分析AIボットです。

自由回答データの読み取りから要点抽出、さらには改善提案まで、短時間で一気に実施できるのが最大のメリット。

テキスト処理が得意なGPTsを組み合わせれば、研修の満足度を向上させるヒントが数多く得られます。

本記事では、そんなChatGPTのGPTsによる研修アンケート分析AIボットの実装手順やセキュリティ面の注意点、そして実際の運用フローを一通り解説していきます。

「研修の成果を見える化したい」と考えている方、そして「組織全体の人材育成を効率化したい」と願う方にとって、きっと実践的な内容になるはずです。

最後までお付き合いいただき、ぜひご自身の現場へ活かしてみてください。

自分だけのGPTsを、プロと一緒に。

音声版も用意しています

GoogleのNotebookLMで作成したAI音声です。

研修アンケート分析にGPTsが注目される理由

研修の効果を正しく把握し、改善へスピーディに反映させる取り組みは、近年ますます重視されるようになっています。

DX推進や人的資本開示の流れもあり、企業は研修投資の成果を明確に示す必要に迫られています。

ただ現状では、「自由記述アンケートを集めたはいいが、分析ができないまま放置」という声も少なくありません。

GPT登場による研修分析の変化

ChatGPTなどの生成AIが普及したことで、テキスト分析のハードルは一気に下がりました。

以前なら専門のテキストマイニングツールを導入したり、外部コンサルに頼む必要があった複雑な工程も、GPTsを活用すれば柔軟かつ素早く対応できます。

たとえば研修後の受講者コメントをGPTsに読み込ませることで、満足度の傾向や改善要求をまとめる自動要約が、わずか数十秒で得られます。

手作業では想像できないスピードでアンケートの全体像を把握できるため、研修担当者の業務効率が飛躍的に高まるのです。

研修アンケート分析へのニーズ高まり

一方で、企業の研修担当者が「研修効果測定の仕組みを整えたい」と考えていても、どんなツールを使い、どのようにデータを処理すればよいのか分からないという壁があります。

特に「研修アンケート分析」は満足度だけでなく、自由回答から潜在的な課題を洗い出す重要な作業ですが、そのために追加予算や人員を割くことが難しい現場も多いのが実情です。

GPTsはChatGPT標準の機能であり、追加のプログラミング不要で手軽に活用できる利点を持っているため、こうした中小規模の企業にも導入ハードルが低いという強みがあります。

他ツールとGPTsの違い

既存のアンケート集計ツールやBIダッシュボードでは定量的な集計に強みがある一方、自由回答の質的分析は人手に頼るケースが多いです。

これに対してChatGPTのGPTsは柔軟な文章理解能力を持ち、キーワード抽出や感情分析、さらに具体的な改善策の提案までを一連の流れでこなせます。

また、ChatGPTホーム上で簡単に編集・共有できるため、大がかりなシステム導入よりもスピーディにスタートできるでしょう。

こうした技術的優位性と実用面の手軽さが、研修アンケート分析への積極的な利用を後押ししています。

「人的資本経営」への追い風

さらに今後は、企業が株主や投資家に対して人材育成の成果を可視化し、社会的にも責任を果たすことが求められていきます。

こうした人的資本経営へのシフトが起こる中で、研修アンケート分析を通じて受講者の声を迅速に把握し、次の研修計画へ活かすサイクルを回すことは、企業としての価値を高める重要な施策といえます。

GPTsによる効率化によって、担当者がより戦略的な研修企画・運営に時間を割けるようになる点も大きなメリットです。

自由回答の分析が抱える現場の課題

実際の現場を見渡すと、研修アンケートから得られるデータは豊富にもかかわらず、うまく活かし切れていないケースが散見されます。

現状の主要な課題を整理してみましょう。

担当者の時間不足

研修を運営する人事・教育担当者は、研修の企画や受講者への連絡、講師との調整など多岐にわたる業務を抱えています。

そのため自由回答の分析に割く十分な時間を確保できないのが当たり前です。

少人数のチームだと、アンケートを集めること自体はできても、読み込んで要点を抽出しレポート化する工程が後回しになり、定性情報が事実上「宝の持ち腐れ」になることも多いでしょう。

分析スキル・ツールの不足

分析に関わる専門知識やツールがなければ、アンケート結果に含まれる重要なキーワードを機械的に拾うことさえ困難です。

まして感情や文脈を加味した洞察を引き出すのはさらにハードルが高いと言えます。

Excel集計や既存アンケートシステムだけでは、「定量の数値データ」しか整理できず、「定性的な自由回答」を系統的に分析するには不十分です。

改善施策への結びつきが弱い

多くの場合、集計結果をどう改善行動につなげるかが曖昧になっています。

「満足度が下がった理由」「次回はどんな内容を強化すべきか」など、具体策を考える工程で担当者が疲弊し、結局「原因不明のまま研修を再実施」というパターンに陥ることが少なくありません。

せっかく貴重な意見が得られても、組織に還元されにくい仕組みになっているのです。

  1. 担当者リソース不足
    満足度や自由回答を読むだけで精一杯。データ活用が滞り、次回研修が従来のままになる。
  2. 専門的な分析ツール不在
    単純集計に終始し、深堀りできるテキスト分析・感情分析が導入されないまま放置されがち。
  3. 改善策が曖昧なまま
    データに基づく具体的な研修改善プランを作れず、結果的に研修の質がなかなか向上しない。

こうした問題が続くと、受講者のモチベーションを十分引き出せず、研修にかけた時間やコストを最大限に活かすことが難しくなります。

担当者としては何とか効率化しつつ、「アンケートの声をダイレクトに研修企画へ反映できる仕組み」を整えたいところでしょう。

ChatGPTのGPTsが登場したいま、この課題をクリアするチャンスが巡ってきているとも言えます。

GPTsで実現するアンケート分析の新しい形

こうした課題を乗り越えるうえで、ChatGPTのGPTs機能を活用した研修アンケート分析AIボットの導入は有力な選択肢になります。

テキスト処理に優れたGPTsと簡易なワークフローを組み合わせれば、これまで人手頼みだった自由回答分析や要約が一気に自動化され、担当者が分析レポートを作るまでの時間と手間を大幅に削減できます。

GPTsならではの強み

GPTsは標準のChatGPTホームから作成・編集できるので、追加の開発コストを抑えられる点が魅力です。

また高度な自然言語理解能力を搭載しており、単なるキーワード抽出では捉えきれない文脈や感情面を踏まえた分析が可能です。

たとえば受講者からの「講師が丁寧で分かりやすかったが、もっと実践的な演習時間が欲しい」というコメントを取り上げたとしましょう。

するとGPTsは「講師評価は高い。改善点は演習時間の拡大」と的確に要約し、さらに「どのように演習を増やすか」といった改善アイデアまで提案してくれます。

PoCから始める導入ステップ

大掛かりなシステム導入が不安な場合、まずはPoC(概念実証)として一部の研修アンケートだけGPTsに読み込ませ、どれくらい時間短縮やインサイト発見があるかを試す方法がおすすめです。

結果が良好ならば、段階的に利用範囲を拡大し、最終的には全社での研修アンケート分析に展開していくことができます。

  1. 少人数で試用
    1~2件の研修データだけをGPTsに解析させ、要点抽出・レポート化のスピードを比較する。
  2. 対象拡大
    部門別や定期研修など複数のケースで活用し、分析精度やコストを検証。
  3. 全社導入
    LMSや人事システムと連携し、アンケート回答→GPTs解析→レポート生成の流れを自動化する。

研修サイクル全体への効果

GPTsが自動でまとめたフィードバックを使えば、研修の内容を柔軟に更新しながらPDCAサイクルを高回転で回すことが可能です。

受講者満足度が低かった部分を即座に改善し、次回研修に反映することで「教育コストの無駄」を最小限に抑えられます。

これは、限られた予算内で成果を求められる企業にとって大きなアドバンテージとなるでしょう。

FreedomBuild への相談

実際に導入検討を進める際には、FreedomBuildのような専門サービスでナレッジを得たり、サポートを受けるのも手段の一つです。

GPTs連携や社内システムとの接続においてノウハウがあるパートナーと組むことで、スムーズな初期導入や運用体制の構築が期待できます。

ChatGPTのGPTsを使った実装ステップ解説

ここでは、ChatGPTホームからGPTsを作成し、研修アンケート分析AIボットとして動かすまでの大まかな流れを紹介します。

PoCレベルであっても、以下のようなステップを踏めば最小限の準備でスタートできます。

1. GPTs編集画面にアクセスする

ChatGPTにログインしたら、ホーム画面右上のアカウントアイコンをクリックして「マイGPT」を選びます。

そこから「GPTを作成する」を押せば新規GPTsの編集画面に進めます。

作成したGPTsはサイドバーに表示され、いつでも再編集が可能です。

GPTs作成画面へのアクセス_1
GPTs作成画面へのアクセス_2
GPTs作成画面へのアクセス_3

チームプランの場合は、ワークスペースのOwnerやAdminが他メンバーをEditorに追加して共同作業することもできます。

2. システムプロンプトを設計する

GPTsでは「システムプロンプト」が頭脳となり、どういった回答を生成するかを左右します。

研修アンケート分析ボットとして運用するなら「自由回答の要点を抽出し、改善提案をまとめてください」などの指示をベースに、社内用語や注意事項も書き加えると精度が向上します。

ただしシステムプロンプトには8,000文字までという上限があるため、超える場合はナレッジファイルを活用すると良いでしょう。

以下は、ChatGPTのGPTsで「研修アンケート分析AIチャットボット」を構築する際に適したシステムプロンプトの例です。

自由記述回答を要約・分類し、改善提案を提示する用途に最適化されています。

role: >
  あなたは人材育成と組織開発に精通した研修アンケート分析の専門家です。
  ユーザーの目的達成をサポートするAIアシスタントとして振る舞ってください。

output_style:
  tone: フォーマル
  structure: 段落形式
  length_preference: 簡潔に
  language_level: 初心者向け

behavior_rules:
  - 不確かな情報は断言しない
  - ChatGPTの能力範囲外のことは明言する
  - 差別的・攻撃的な表現は禁止

knowledge_scope:
  include_topics:
    - GPTs構築
    - アンケートの自由記述分析
    - 改善提案の要約
  exclude_topics:
    - Pythonのコード実装
    - 外部APIの接続方法

response_policy:
  priority_order:
    - "ユーザーの直接指示(チャット内)"
    - "このシステムプロンプト"
    - "ナレッジファイルの内容"
  fallback_strategy: >
    回答不能な場合は、無理に推測せず「情報が不十分です」と伝えること。

clarification_policy: >
  ユーザーの指示が曖昧な場合は、勝手に解釈せず「〜という意味でしょうか?」と必ず確認してください。

default_output_format: >
  必要に応じて以下のテンプレートに従って出力してください:
  - 分析概要(200文字以内)
  - 主なポジティブ意見(箇条書き)
  - 主なネガティブ意見(箇条書き)
  - 改善提案(3案まで)
GPTsに与える指示を設定

3. 各種機能を設定する

GPTsの編集画面にはWeb検索キャンバス画像生成といった機能をオン・オフするチェックボックスが用意されています。

研修アンケート分析では大きく関係しないかもしれませんが、コードインタープリターとデータ分析は自由記述解析を効率化するうえで重要になる場合があります。

必要に応じてオンにしておきましょう。

また、アイキャッチ画像を自動生成したい場合は4o画像生成をONにすると GPT-4o-Image-Generation でカバー画像の作成も可能です。

4. ナレッジファイルを設定する

研修アンケートの過去データや社内用語集などをナレッジファイルとしてアップロードすると、GPTsが参照してより正確な回答を行うようになります。

例えばCSV形式で受講者の自由回答をまとめ、それをナレッジファイルとして読み込ませれば「読み込んだデータを分析し、感想を要約して」というプロンプトを投げるだけで要約結果が返ってくるイメージです。

アップロードできるファイル形式や容量には上限があるため、事前に確認してから使うと安心です。

ナレッジファイルをアップロードする場合は、「コードインタープリターとデータ分析」をONにしましょう。

ファイルのアップロード_1
ファイルのアップロード_2

5. アクション機能を有効化する

GPTsの「アクション」メニューから新しいアクションを設定すれば、外部システムや特定APIと連携する仕組みも構築できます。

GPTsのアクション設定_1
GPTsのアクション設定_2

たとえばスプレッドシートに回答が集まった時点で自動でGPTsを呼び出し、分析結果をチャット画面に返してくれるようにすると、担当者は手動作業をほぼ省略できます。

ただしAPI連携は高度な設定になるため、まずは「システムプロンプト + ナレッジファイル」でGPTsを運用することがおすすめですね。

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セキュリティ・法令遵守で押さえるべきポイント

研修アンケートは個人情報や機微な組織情報を含むことがあります。

ChatGPTのGPTsを使うにあたっては、データ保護の観点をしっかり押さえておきましょう。

個人情報の匿名化

まずは個人名や社員番号など、特定個人を識別できる情報を事前にマスキングしてからGPTsに渡すことが基本です。

自由回答の中に個人名が含まれる場合は、置換や削除といった工程を自動化し、解析対象外にする仕組みを整えるのが望ましいでしょう。

これによって個人情報保護法上のリスクを軽減できます。

外部サーバー利用時の注意

ChatGPT(GPTs)を使うと海外拠点のサーバーへデータが送られるため、社内規定やセキュリティポリシーで制約がある組織もあるかもしれません。

Azure OpenAIなど国内データセンターに対応した選択肢や、まったく外部に出さずオンプレミス型の大規模言語モデルを使う方法も検討材料になるでしょう。

ただし、性能面やランニングコストとの兼ね合いも考慮が必要です。

会話データの学習を拒否する

GPTsでは、ナレッジファイルをアップロードすると最下部に「追加設定」の項目が出現します。

その「追加設定」をクリックして開くと「GPTで会話データを利用してモデルを改善する」のチェックボックスがあるので、これを OFF にしておくとデータ利用を拒否できます。

会話データの学習を拒否する_1
会話データの学習を拒否する_2

ただし、会話データ自体はOpenAIのサーバーに30日間保管される点は頭に入れておきましょう。

内部統制と説明責任

AIによる分析結果をそのまま鵜呑みにして、人事評価や処遇に直結させてしまうとトラブルの原因になりかねません。

特に「このコメントはネガティブだ」といった感情分析は、あくまで研修改善のための参考情報と割り切り、人間のレビューを必ず入れるようにしましょう。

運用ルールを明文化し、従業員に対して「AIを活用する意図は研修品質向上であり、個人を不当に評価するものではない」旨を周知することも大切です。

データ保存期間と削除

研修アンケートを長期間保存する必要がなければ、分析後は迅速にデータを削除する運用を取り入れてもいいでしょう。

GPTs側も一定期間で会話履歴を削除するポリシーを持っていますが、自社側でのデータ管理方針を確立し、過度な蓄積や漏えいのリスクを避ける工夫が求められます。

継続的な運用でGPTs分析を育てるコツ

GPTsで研修アンケート分析AIボットを立ち上げても、それだけで完璧に回るわけではありません。

運用開始後の継続的なチューニングや活用促進が重要です。

定期的なプロンプト修正

システムプロンプトは研修内容の変化や社内用語の追加に合わせて、柔軟に更新する必要があります。

新しい研修テーマや部署特有の専門用語が増えた際には、その定義をプロンプトに追記し、回答精度を維持していきましょう。

組織全体への定着化

研修担当者だけでなく、現場の管理職や講師にもAI分析結果の見方を簡単にレクチャーし、リアルタイムで意見交換できる体制を築くと、研修改善のスピードがさらに高まります。

社内SNSやミーティングでAIレポートを共有し、「こういう声が多かったから次回は演習重視で行こう」など具体的なアクションにつなげると効果的です。

効果測定とフィードバック

GPTs導入後、「アンケート分析にかかる作業時間がどれほど削減できたか」「改善施策による満足度向上や業務効率の変化」を数値化してみると、導入成果を分かりやすく示すことができます。

定期的に振り返りを行い、「どの程度投資対効果が得られているか」「次に改善すべきポイントは何か」を可視化すれば、さらなる上層部の支援も得やすくなるでしょう。

常に新バージョンをウォッチ

ChatGPTやGPTsはバージョンアップが早く、数カ月おきに機能拡張が行われます。

こうした新機能やアップデート情報にアンテナを張り、新しい分析手法や自動化オプションが追加されたら試してみるといった姿勢で運用を続けることが、大幅な生産性向上につながります。

まとめ

研修アンケート分析の大きな壁だった「自由回答の膨大な文章をどうまとめ、どう改善策に落とし込むか」という問題は、ChatGPTのGPTsを活用することで一気に乗り越えられる時代になりました。

自由回答の短時間要約キーポイントの抽出、そして改善のための具体案の提案にいたるまでをスムーズに行えるGPTsは、現場の研修担当者を強力に支援してくれるでしょう。

さらに、運用の中でプロンプトやナレッジファイルを地道に更新していくことで、ボットの精度は着実に高まり、研修サイクル全体のクオリティを引き上げることができます。

「人的資本経営」の視点がますます重要となる今、研修アンケート分析AIボットを活用して、企業が持つ人材育成力を最大限に引き出してみてはいかがでしょうか。

研修設計や組織改革のヒントを、ぜひGPTsとの対話の中から積極的に見つけていってください。

自分だけのGPTsを、プロと一緒に。

参考元

駒田 隆成
駒田 隆成

ChatGPT 活用支援 / 構文設計者

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